スペインでも代表的な建造物の一つとして、アントニオ・ガウディの未完作品『サグラダ・ファミリア』。
そもそも、何の建物なのか分からない…という方も多いのではないでしょうか。私も何度かバルセロナに訪問してますが、観光の一つくらいしか思ってませんでした。実は色々と奥深い「サクラダファミリア」の世界を探って行きましょう♬
建築家アントニオ・ガウディとは?
1852年にスペインのカタルーニャ地方で生まれたアントニオ・ガウディ。サグラダ・ファミリア以外にも彼の作品はバルセロナに多くあります。カサ・ミラ、カサ・バトリョ・グエル公園などなど。
サグラダ・ファミリアは、当初民間カトリック団体「サン・ホセ教会」 が設立を計画し、その設計は建築家フランシスコ・ビリャ―ルに任されていましたが、着工の翌年に意見対立により彼が辞任してしまい、次期設計者に任命されたのがガウディでした。
実はガウディが二代目だったんですね!!
その後ガウディは40年近くサクラダファミリアの建設に従事してました。
ガウディは1926年に路面電車に引かれましたが、建設に没頭していた為、身なりに気をかけていなかった事で浮浪者と間違えられ、病院に運ばれたものの処置の遅れ等で3日後に亡くなりました。
完成までに長年かかる理由
建築資金不足
カトリック教会のため、当初資金は寄付によってのみ調達されたのです。
ガウディも全財産をサクラダファミリア建設に寄付しており、サクラダファミリアの一角で寝泊まりしてました。
設計図・模型・関連資料がない
生前ガウディは、詳細な設計図を作成せずに模型やイラストで、設計の構想を弟子たちに伝えていて、それを基に弟子たちが資料を作成しました。ガウディの死後、1936年に始まったスペインの内戦によって、それらの資料が失われてしまいました。
2026年完成予定
サクラダファミリアは初期の完成予定では300年かかると言われておりました。完成しない理由のうち、費用不足に関しては1990年代以降観光収入が増えたため、資金状況は良くなりました。
また、職人の口伝(くでん)や残っていたわずかな資料を元に、その時代の建築家がガウディの設計構想を推測する方法で、現在も建築が続けられています。
更に、近年発達したIT技術による3D解析・シミュレーション、工作機械による複雑な形状加工ができるようになったことも手伝い、工事が大幅に短縮され、1882年着工より144年、ガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定と発表されています。
主任彫刻家は日本人 外尾悦郎氏
まだ未完成の塔「イエスの塔」の主任彫刻家が日本人の外尾悦郎氏が担当しております。
サクラダ・ファミリアでは建築家、彫刻家などが約200名働いております。外尾悦郎氏は1978年に日本からバルセロナに渡り、約40年間建設に関わっています。
外尾氏は、300以上の彫刻を作成しました。資料がない為に、わずかなヒントを基に、ガウディだったらどうしたか?と考え、答えを見つけて作品を制作しています。
外尾氏の最初の作品はサクラダ・ファミリアの西側の”植物の芽”です。こちらも図面が無かった為、外尾氏は東側のガウディが作成した彫刻からヒントをもらって作成しています。
生誕の門に飾られている外尾氏の作品『15体の天使の像』は、「天使は石から掘り出されるのを待ちわびていたようだ」と称賛されています。また、東洋にも天使がいるとの外尾氏の考えから、天使のうち2体は東洋人の顔をしています。
サクラダ・ファミリアに訪れた際に東洋の天使を見つけてください。
外尾氏の無から有を産む作業は大変ですが、いつも挑戦し続ける事がとても素敵です。
2018年から建設中の「イエスの塔」の内部の作成に苦悩する外尾氏のドキュメンタリーがNHKスペシャル「サクラダ・ファミリア 天才ガウディの謎に挑む」でご覧いただけます。
「イエスの塔」が完成すると世界で一番高い教会になります。
そんなスペインの代表的な世界遺産 サクラダ・ファミリアに日本人が深く関わり、歴史的建造物に日本人のDNAが刻まれる事はとても嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございます。